活字嫌いの文フリ札幌ブックレビュー③國學院大學北海道短期大学部句歌会『ツキハレ。』

 活字嫌いのくせに趣味で文芸をしています。社会人二年目24歳、職場ではちょこちょこ無茶振りされることも増え、「絶対やるもんか」と思っていた休日出勤と仕事の持ち帰りを実績解除してしまいました。更に本を読まなくなり、活字嫌いに拍車がかかっています。  去年の文フリで買った本を結局読みきれずに今年の文フリを迎え、開き直って今年買った本を読んでいるところです。  滝川市にある國學院短大(以下「こくたん」)の部誌は前にも読んだことがある気がするんですが、短歌会から句歌会になっていました。それか短歌会とは別にできたんでしょうか? どちらにせよ旭川の大学で入った文芸部が知らない所で廃部になり一人つつましく書いていた自分にとって、こくたんは憧れでした。仲間がいるって贅沢なことです。今はほくとの友達のありがたさを噛み締めています。  そんなこくたんの皆さんの短歌と俳句が読める「ツキハレ。」はまず表紙がすっごい派手です。これは自分で手に取って見てください。見れば見るほど訳が分からなくて好きです。  「ツキハレ。」はまず顧問の月岡先生の短歌連作が載っていて、次にメンバー3人の短歌と俳句が並んでいます。どうやら3人とも「短歌研究新人賞」や「北海道歌人会賞」などの賞に応募されていて、応募作を改作したものが掲載されていました。賞って結構まとまった量出さなきゃいけないイメージあります。そんな賞に学生しながら応募するってめちゃくちゃ凄いです。  作品の次は「ツキハレポート」と題し、歌会の記録が載っています。これめっちゃ偉くないですか? 歌会ごとに担当のかたが違うので記録方法も座談会形式に箇条書きに解説型と三者三様なのですが、そのぶん歌会を色々な形で楽しめます。自分も学生時代こういうことやれば良かった。  あと歌会の記録には短歌に対するメンバーのコメントも書いてあるので、自分と違う読み方や考えに触れられるのもいいですね。自分も歌会に参加したような気持ちになれます。  最後に編集後記があり、編集後記の直前に歌会以外の活動報告があります。歌会以外に活動してんの? 部活やってたのが高校までで、高校の部活では世間話とマインスイーパばかりだったので相場というものが分からないんですが(だから活字嫌いが治らなかったんだと思います)、部活ってそういうもんですか? いや偉いのでは? 本当に凄いです。引き継がれていってほしいですね。  全体的に活字嫌いにも読みやすい本でした。ツキハレポートが全体の半分くらいなのもあるでしょうか。活字嫌いは字から字面以上の情報を読み取るのが苦手なので、行間のことを考えるより受け身でほへ~~つって読めるレポートとかの方が読みやすいのかもしれません。  さて、活字嫌いなりに作品を読むなかで好きだな~! と思った作品について、レビューしていこうと思います。クラゲくらい脱力して書いているので皆さんもクラゲになってください。


用務員の汗と脂と屈託を拭ひて白きタオルびらびら(月岡道晴先生の連作より)

 学校関係の仕事をしているんですが、学校にいる用務員さんにはもちろん用務員さん以外の顔もあり、その上で廊下で会ったら挨拶してくれたりします。みなさんは自分が通っていた学校の用務員さんの名前を言えますか? まだ学生のかたは用務員さんが首から下げたタオルを気にしてみてください。

屋台のと親作るのとペヤングと同じ名前の違う食べ物(川津寧々さんの作品群より)

 こういうベタな対比みんな好きでしょ! お祭りの思い出、家族との思い出、湯切りの思い出とか全部が重なって目の前の焼きそばに鎮座しているのだ。これからも違う食べ物の記憶は増えていくし種類も増えるかもしれません。人生はつづく。

赤りんご速度制限なしで剥く(川津寧々さんの作品群より)

 りんごはアダムとイブの話から知恵の実みたいなイメージもありますが、そんなりんごを俺たちの欲望の味方カケホーダイでドンドン剥いていくぞ! という潔さが好きです。ジョブズもびっくり。

ザラメから噴き出す綿はとめどなく塾を休んだ日を思い出す(吉峯行人さん「たけのこにょっき」より)

 わたあめ機はお祭りならではですし、お祭り行くために塾休んだ事があるんですかね? おかいこさんみたいに細い糸が出てきてザラメの粒が小さくなるのが、休んじゃったなぁっていう身が切れる感じと重なるんでしょうか。

こがねむし乾電池から漏れる汁(吉峯行人さんの作品群より)

 こがねむしも潰れると汁が出ますし、虫平気な人でも汁はちょっと触りたくないですよね。本来漏れるはずがなかった汁からは本来の姿以上に生々しさを感じるものです。誰だって潰すと汁が出ます。

コスモスと同じ角度で揺れてみる「何してんの」って笑っていてね(小山愛梨さん「平行世界~習作~」より)

 コスモスのみょんみょんした動きをやってみたくなる時、素直にコスモスをやってみた時、ノるんでもあしらうんでもなく、呆れつつ構ってほしい時ってあります。その人の前では子供でいれる、甘えられると思うことにだって勇気が要ります。笑っていてねと話すとき僅かに込めたお腹の力をいつまでも忘れずにいたい今日このごろ。

窓枠に逆さまのまま金魚鉢(小山愛梨さんの作品群より)

 「ツキハレ。」の中で一番すき。一年逆さまのままってよりも、一度使われたあと金魚が死んでしまって、夏の終わりまで干してるんだと読みました。夏って季節は盆とか終戦の日とか、死と近い季節だと思います。窓からの光や風が金魚鉢を通りすぎて、だんだん夏が終わっていきます。

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